私が小売業のIT化の世界に入った1975年は、米国から日本へPOSがやってきたばかりでした。それまで小売業の店頭ではキャッシュ・レジスターを使ってほぼ決済処理だけが行われていましたが、POSの出現によって販売データはそのままコンピュータシステムへ伝送されるようになり、決済処理に加えて、データの加工集計ができるようになりました。これは当時としては画期的な革新で、小売業の経営に大きな変化をもたらすことになりました。
私が主として携ってきたスーパーマーケットにおいては、JANコードの導入とも呼応して、ご承知の通り、その後POSシステムは急速に普及し、今ではPOSシステムによるチェクアウトは当たり前のものとなっており、セルフレジあるいはセミセルフレジは一般的なものとなっています。更に、現在、国内外で、無人レジあるいはチェックアウトレス・システムの実稼働が始まっていることを想起すると、POSシステムの黎明期には想像すらできなかった世界であり、隔世の感を禁じえません。
これらのICTの進展は、世界的には、1980年代から始まるPC、インターネットに代表される第三次産業革命を経て、現在、ロボット、AI、IoT、3Dプリンター、自動運転などのキーワードで表現される第四次産業革命と呼ばれるステージに入っていると言われています。このことは、私たちが、デジタルトランスフォーメーション、即ちICTが社会のあらゆる領域に浸透することによってもたらされる変革、の真っただ中に居るということを示しており、当然ながら、小売業においても例外ではありません。
あらゆる事象がデジタル化され、データ化され、情報化される環境下においては、これまでの「情報システム」の範囲外にあった仕組みがICTの守備範囲に入って来ることを意味しています。即ち、これまでコンピュータシステムに任せることはできない人間しかすることができない仕事、あるいはコンピュータシステムとは無縁と捉えられてきた仕事が、ICTが担えるものになるということです。そして、併せて重要なことはこれまでの「情報システム」の範囲においても、より容易により高度にICTの利用を図ることができるということです。
小売業を取り巻く環境は、競争、雇用、消費者などいずれの側面から見ても厳しさが増しております。今こそ、ICTと真正面から取り組み、利用技術の蓄積と向上に対して努力を積み上げていくことが大切だと思います。
私達は、ICTの恩恵を信じて果敢に挑戦して行かれるクライアントに対し、情報システムに留まらない多彩なソリューションを提供させて頂き、微力ながら共に歩んでいきたいと祈念しております。
アスピランツ株式会社 代表取締役社長 北村修二